子供は身近な人の『死』を理解できるのか?『死』を理解させる難しさ。
連休中に私の祖母が急逝しました。
昨日まで元気で軽口をたたき合い、別れ際の「またねー!」が最後の挨拶になるなんて思いもしないほど急に、祖母は逝ってしまいました。
その日の朝、保育園で作ったこいのぼりを入院中の祖母に見せに行こう!と娘と相談していて、母に連絡をとったところ、
「ばーちゃんが心肺停止して心臓マッサージしてるって、今病院から連絡があったの。」
病院に着いて詳しい話を聞いたらまた連絡するから、と電話を切り、たったの1時間後。
「今息を引き取ったよ…」
信じられない気持ちで報告を受けました。
「本当に眠っているみたいな顔だから、○○(娘の名前)も連れて病院に来れる?ばーちゃんも○○(娘の名前)に会いたがっていたから。」
ひーばーちゃんと娘
祖母は体が不自由で生活全般に介護が必要なため、施設に入所していました。
私は0歳の頃から娘を連れて施設に通っていましたし、連休などで祖母を実家に戻した時は必ず集まっていたので、娘は祖母を『ひーばーちゃん』と呼んで慕っていました。
祖母もひ孫である娘を可愛がってくれました。
枕元にたくさん娘の写真を飾り、『これうちのひ孫!孫に似て可愛いよ。』と施設の職員さんを呼び止めては見せていたそうです。
娘にとっては、ひーばーちゃんは一緒に暮らしてはいないものの、とても身近な人です。
そんな人の『死』。
突然いなくなってしまったこと。
3歳の娘にどうやって伝えたらいいんだろう?
子供にどうやって『死』を伝える?
混乱する頭ではうまいことを言えず、ありのままを伝えること。
「今からひーばーちゃんの病院に行くよ。ひーばーちゃんは眠ってしまってもう起きられないんだって。おやすみとバイバイを言いに行こうか。」
「ひーばーちゃん、故障して病院にいるの?お風邪?○○(娘の名前)ちゃん、早くお風邪治してねって言いに行くー!」
「ひーばーちゃんは故障してもう治らないんだって。もう起きてお話しすることもできないんだよ。」
「なんで?どうして治らないの?」
初めは、”病院に行けば病気は治るものなのにひーばーちゃんは治らない”ということや、”朝が来ても二度と起きられない”ということが全く理解できないようでした。
病室で祖母との対面。
「ひーばーちゃん、起きてー!○○来たよ~」と起こそうとしましたが、徐々にいつもと違う雰囲気を感じ取ったのか、静かに祖母を見つめていました。
変にはしゃいだり、泣き出したりすることなく、横たわる祖母をじっと見つめる娘を見て、この子は身近な人の『死』を体感しているのだなと感じました。
『死』を理解させることの難しさ
病院では大人しくしていた娘ですが、帰宅後は聞きたいことでいっぱいのようでした。
「ひーばーちゃん、死んじゃっていつ起きるの?」
「死んじゃうともう起きれないんだよ。」
「起きれないとどうなるの?」
「お話したりご飯食べたりできなくなるよ。ずっと目を閉じて眠ってるよ。」
「ずっと眠って、それでどうなるの?」
「うーん…お星さまになるんだよ。」
私は基本的に子供だからと言って嘘を教えないようにしてきました。
でも火葬してお墓に入れるなんてどう説明したらいいんだろう?
体を燃やしてお骨を埋めるなんて言ったら、”死ぬこと=怖いこと”という恐怖を与えてしまうんじゃないか?
咄嗟に、『死んだらお星さまになる』口から出てしまいました。
「ひーばーちゃんお星さまになるの?!すごいねー!どのお星さまがひーばーちゃんかなぁ?」
3歳に『死』を理解させる難しさに直面していた私は、星に話題が移ったことに正直ほっとしてしまいました。
「ひーばーちゃんの星探しに行ってみる?」
優しい嘘と真実のはざまで
死んでも人は星にはなりません。
死んだら人はどこにもいなくなってしまいます。
火葬し、お骨だけになり、そのお骨もいずれなくなります。
そのことを、恐怖を与える可能性を怖れて私は娘に教えられませんでした。
3歳の娘に死の真実を教えることが正解なのか、残酷なのか。
嘘を教えることが優しいのか。
私は答えが出せなかったので、子供向けの絵本を参考にすることにしました。
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”ミッフィー”の愛称で知られるブルーナ作の絵本です。
大好きなおばあちゃんが亡くなり悲しいこと、棺に入りお墓に埋めてお別れになること、お墓でおばあちゃんを偲ぶことが可愛らしい絵で端的に描かれています。
娘に読み聞かせながら私の方が泣いてしまいました。
娘は何か感じることがあったかな?
「もう会えなくて寂しいよってひーばーちゃんにお手紙書いたから、ママひーばーちゃんに渡しておいて。」
絵本を読んだ後、祖母に手紙を書いたようです。どうやって渡すのさ(笑)!
祖母へ
あなたのハチャメチャで破天荒で末っ子気質なところに随分振り回されたこともあったけど、いつも陽気で愛情をたっぷり注いでくれたあなたが大好きでした。
いつか娘があなたの死を理解して恋しがったとき、紫が好きで派手な服ばかり好んでいたことや、好き嫌いが激しくて甘いものばかり隠れて食べていたこと、若い頃はキャリアウーマンでパチンコと煙草をこよなく愛してたことも全部ぜーんぶ話しちゃうね。
お母さんのことは任しておいて!
安らかに眠って下さい。
ばーちゃん、今までありがとう。